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賃借人の破産・・・

2017年4月5日 水曜日
賃貸お役立ち情報

先月3月末、旅行会社の「てるみくらぶ」の破産手続き開始によって約9万人の旅行者に影響が出ているとニュースが報じられています。

今回は、賃貸借契約上の借主が「破産手続き開始」をした場合について取り上げたいと思います。

破産手続きを行うためにはまず、地方裁判所に対して破産手続開始の申立てをしなければなりません。しかし申立てをすれば、それで当然に破産手続きが開始されるわけではありません。裁判所にて破産手続の法律要件を満たしているかどうか審査され、法律要件が満たしている場合に初めて、「破産手続開始決定」という決定がなされます。

この決定がなされた後、賃貸借契約上の貸主のもとに「破産手続開始通知書」なる郵送物が届き、そこで初めて借主が破産したことを知るわけです・・・。

弊社もオーナー様より借り上げさせて頂いているトランクルームにて、多数の法人様へ賃貸しておりますが、時折破産手続開始通告書が届くことがあります。その法人はしばしば賃料の遅れがあったり、滞納している場合であればまだしも、先月まで賃料が遅れたことがないような法人様が・・・ということもあります。

では、その「破産手続開始通知書」が届いたらどうすればいいのでしょうか?その通知書には、破産管財人の氏名・連絡先や破産債権届出に関することが記載されております。

一番良いのはその破産管財人へ連絡を取り、状況を教えてもらうしかありません(※この時点で破産者自身とは直接やり取りができなくなり、すべて破産管財人を通すこととなります。)自分がその破産者に対し、どのような債権を有しているのか?

賃貸借契約で言えば賃料債権となります。つまり未納賃料のことです。それを同封されている「破産債権届出書」という書面に記載し指定の期日(破産手続開始から1ヶ月後)までに所定の提出先へ送付しなければなりません。送付するにあたっても配達記録郵便を使った方が良いと言われています。またその期日までに提出できなければ債権の配当を受けることができないようです。慣れていない方だと何をどのようにしなければ分からないものです。どうすればいいのか考えている間にあっという間に1ヶ月など過ぎてしまうものです。どちらにせよ破産者寄りの手続きのように思えます。さて、破産債権届出書を期日までに出せば未納分を回収できるのか?というとそうではありません。まず、破産者に原資がどのくらいあるのか?それにつきます。原資がなければ配当は殆どありません。仮にあったとしても債権の種類や優先順位があるようです。破産法において、債権者の有する債権を「財団債権」と「破産債権」と分けております。

「財団債権」は、通常の破産手続によらないで随時弁済を受けることができるものです。要するに、債権届出ののち配当を待つことなく支払いを受けることができるようです

「破産債権」は、債権届出ののち、債権額に応じた比例配当。されるものでその中でも公租公課が優先されるので、ほとんど回収は厳しいと思われます。

では、賃貸借契約上の債権(未納賃料)においてはどのように分かれるのか、下記を参照下さい。

 

 

破産手続開始日までが『破産債権』と扱われ、それ以降は『財団債権』と扱われます。つまり、破産手続開始までの未納賃料の回収は非常に難しいということとなります。上記では破産手続開始日の5日後が賃貸借契約解除日となっておりますが、破産法第53条1項により破産管財人は契約を解除することができます。破産管財人より貸主宛に「賃貸借契約解除通知書」が配達証明郵便で届きましたら届いた日が契約解除日となります。もちろんその日までに明渡しが完了することは考えられませんので、その日以降は不法占拠状態となり、未納賃料ではなく賃料相当額損害金となります。

明渡しに関しては、破産者と破産管財人が協議し、いつ頃を目途に明渡す旨の連絡が貸主へあります。ただこちらがいかに早く明渡せと催促しても思い通りにはならないようです。また、借主より「保証金」や「敷金」等を預かっている場合はもちろん明渡しまでに発生した借主の債務に充当できます。

いつ何時、上記のようなことが起こり得るかは誰もわかりません。賃貸事業を行っているオーナー様とっては、出くわしたくない事案ですが、貸主様として知っておいた方が良いと思い記載しました。

今回は大まかな流れを記載しましたが、今後もし『破産手続開始通知』が届き対応にお困りの際は、弊社までご相談を頂ければと思います。

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