電子帳簿保存法とは、帳簿や領収書・請求書などの保存処理に係る負担を軽減するために、ペーパーレス化を促進する法律です。保存方法には、「電子帳簿等保存」・「スキャナ保存」・「電子取引データ保存」の3つに区分されます。
■電子帳簿等保存【希望者のみ】
ご自身で最初から一貫してパソコン等で作成している帳簿(会計ソフトで作成している仕訳帳等)や、国税関係書類(パソコンで作成した請求書等の控えや決算書等)については、プリントアウトして保存するのではなく、一定の要件の下で電子データのまま保存等ができます。また、一定のシステム要件を満たすものは「優良電子帳簿」として、過少申告加算税の軽減措置というメリットを受けることができます。
■スキャナ保存【希望者のみ】
決算関係書類を除く国税関係書類(例:取引先から受領した紙の領収書・請求書等)については、その書類自体を保存する代わりに、一定の要件の下でスマホやスキャナで読み取った電子データを保存することができます。
■電子取引データ保存【法人・個人事業者は対応が必要】
申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている者は、注文書・契約書・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、一定の要件の下でその電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。
この電子帳簿保存法は、法改正により2024年1月1日以降は電子取引情報の保存ルールが変わります。今までは紙で印刷したものを原本として保管できましたが、“取引情報を原則データ”で“電子帳簿保存法の要件に則って保存”が義務化されます。故に、われわれ事業者としては急務の対応・対策が必要になってくるのです。
具体的には、電子取引でのデータ保存だと「真実性の要件」と「可視性の要件」を満たす必要がでてきます。真実性を確保するためには、タイムスタンプや訂正削除履歴が残るシステムを利用するか、正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を制定し、社内で遵守する等の方法があります。可視性を確保するためには、モニター・操作説明書等を備付け、一定の条件を満たしている場合には不要になりますが、検索機能を確保しなければなりません。
弊社では、前述したように3種類の保存方法が混在しております。それぞれの保存方法による要件の違いもありますので、どのようにして保存方法に統一性をもたせていくのか、どのようなシステムを利用していくのか等、現在早急に準備を進めているところでございます。電子帳簿保存法の法改正をきっかけに、今後ペーパーレス化が進んでいくことが期待されています。われわれ事業者にとっては、保管スペースの削減や印刷コストの削減、情報管理の向上やデータ紛失リスクの低下、過少申告加算税の軽減措置といったメリットがあります。ただしスタートするまでの準備が、弊社に限らず、事業者にはかなりの負担がかかってくると感じながら、今も整備を進めているところでございます。