少子高齢社会に伴い人口が減少する中、所有者がわからない土地が増えています。
所有者不明の土地利用の円滑化等に関する特別措置法が6月6日の参院本会議で成立しました。
所有者が不明の土地が増えているのは、所有権移転登記がなされていないことや行方不明が原因。そうした土地は、2016年時点で約410万haと九州全土よりも大きいとされ、このまま対策を講じなければ北海道相当の規模にまで拡大するとされています。
2016年度の地籍調査によると、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できてない割合は約20%に上がっています。
今回の特措法により、都道府県知事の判断で最長10年間の「利用権」が設定できるようになりました。
今後も所有者不明土地の増加が予想されており、収用等の手続きの煩雑さから公共事業の円滑な実施に支障となっている現状をなくすためとされています。
利用権を設定できるのは、建物がなく反対する地権者もいない土地で利用権の設定には、事業者が都道府県知事に裁定を申請し、知事はあらかじめ市区町村に意見を聴取し、事業の公益性、事業者の適格性などを確認したうえで公告・縦覧期間を6カ月設けて不明者が名乗り出ない、反対の申し出がないとなった場合に都道府県知事が裁定する。
この際、本来の所有者に対する補償額については、収用委員会にあらかじめ意見聴取しておくとされています。事業者は補償金を供託することで上限10年間の利用権が設定できる。
利用権設定後に所有者が現れた場合、期間終了後に原状回復して返すことになるが、異議がなければ利用権の設定期限を延長することが可能となります。
利用権の設定によって、市町村が公園を整備したり、仮設道路を整備するなどのほか、公益目的であることを条件にNPO法人などが直売所なども作ることができる。特措法は公布から1年以内、来年6月までに施行されます。
今回の特別措法は、所有者不明土地問題に対応する第1弾。第2弾として2020年までに所有者の把握・実態についての権限・連携にも強化していく予定との事です。