2024年、働き方改革関連法案の施行が、建設・不動産業界に大きな影響を及ぼすと考えられます。少子高齢化で人材が不足する日本において、誰もが活躍できる社会の実現や長時間労働の解消に向け、残業時間の上限規制や有給休暇の取得など多彩な「働き方」を選べるよう見直しが行われました。
すでに2019年より施行されている法律ですが、建設業や運送業などでは「残業上限規制」について5年の猶予が設定されている状態でした。
しかし、ついに2024年、原則「1カ月で45時間、1年で360時間以内」という形で、時間外労働上限が厳しく規制されることとなります。
例えばこれから家を購入する場合、これまでのような土曜日の現場稼働はなくなる。つまり住宅を建てるにあたり、工期が大幅に延びるケースが予想されます。資材や設備などあらゆるものが高騰する中、昨年から良く取り上げられている運送業界による運搬や搬入などもこれまで以上にコストがかかり、なおかつ工期が延びることが予想されます。
またマンションの場合、大規模修繕工事のスケジュールにも影響が及ぶと考えられます。
短期的な視点で見ると、2024年は現場の混乱が予想されます。
しかしながら長時間労働が慢性化し、厳しい職業として敬遠されてきた建設業のイメージが一変する意味では大きなメリットとも言えます。今後の作業員の増加、優秀な人材が入ってくることにより、業界全体の活性化にもつながるとも考えられます。コストアップに応じたクオリティーの向上も期待できます。
長期的には建設業界が抱えてきた課題の解消につながり、大きく飛躍するための法改正と見ることもできます。
いずれにせよ今回ご紹介した法改正を念頭におきつつ、2024年のルール変更が自分たちにどのような影響を及ぼすのか、どのような対応が必要なのか動向を見ていきたいと思っております。そのうえで不動産の購入や保有、売却のアドバイスが出来ればと考えております。「働き方改革」の詳細は、厚生労働省ホームページから検索出来ます。