国土交通省は、前ページでも出て来ましたがIT重説について、賃貸借契約では昨年から施行されて来ましたが、この度、個人を含む売買取引における重要事項説明についても、ITを活用した重説を4月から本格運用を開始すると明らかにしました。
また、重要事項説明書等の電子化については、3月から売買取引でも社会実験を開始することになっております。
IT重説(ITを活用した重要事項説明)とは、「宅地建物取引業法第35条に基づき宅地建物取引士が行う重要事項説明を、テレビ会議等のITを活用して行うこと」を指します。賃貸借契約同様に、パソコンやテレビなどの端末を利用して、対面時と同様に説明や、質疑応答が行える双方向性のある環境が必要となります。
「デジタル化」を実施するメリットは複数ありますが、その最たるものは効率化です。重要事項説明は、1件につき30分~1時間程度と時間にすればそれほど長くはかかりませんが、その一方で必ず対面で実施する必要があったため、引っ越し等遠方に住んでいる方やスケジュールが立てにくい方にとっては非常にやりにくい制度でした。
IT重説になれば移動費や時間の負担も軽減され、日程調整の幅が広がります。
また場所の制約がないため、繁忙期では業者側でも支社間で相互支援できる強みがあり、オンラインならではの連携も可能です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、業界内外で非対面ニーズが高まっていることや、2020年9月16日の菅内閣発足以降、急ピッチで行われているデジタル庁設置の動きを鑑みても、今回のデジタル化は喜ばしい変化といるのではないでしょうか。
長らく「労働集約型」といわれてきた不動産業界のデジタル化は、他業界に比べるとゆっくりかもしれません。
しかし、良くも悪くもコロナ禍がその速度を引き上げています。
今回取り上げた契約の「完全」デジタル化のように、法改正が絡む大がかりな変化も、コロナ「前」よりは受け入れやすい土壌が育ってきているのではないでしょうか。